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外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策【案】が公表されました

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12月25日づけでいろいろな資料が公表されました。

<首相官邸 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議>
第3回(平成30年12月25日)

議事録はまだ公開をされていませんが、基本的には資料の内容についての対応を今後進めていくものと思われます。

今回はこの資料の中で「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策【案】」を読んで感じたことについて書いてみたいと思います。

内容としては労働者であり、長期的に日本に滞在する地域住民の一人である外国人サポートをどのようにしていくか、というのがテーマですが、現在の制度上で来日している人も今の時点からでも改めて確認や注意、場合によっては改善が必要だと考えられる内容も見受けられました。
(以下、青文字は資料からの抜粋)

<外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策【案】>
〇生活者としての外国人に対する支援
(1)暮らしやすい地域社会づくり
②地域における多文化共生の取組の促進・支援(p5)

・大都市圏その他の特定の地域に外国人が過度に集中することなく、地域の人手不足に的確に対応し、地域の持続的発展につなげていく必要がある。

実質的に単純労働の担い手となっている技能実習生は最低賃金がベースとして給料が設定されています。特定技能1号の方の中には技能実習の延長で日本で働く人も多く含まれる見込みです。特定技能になったから大幅に給料が上がるのか?と考えるとなかなかそうはいかないようにも思います。

平成30年10月からの最低賃金を見ると、一番高い東京が985円で一番安い鹿児島は761円でその差は224円。1か月160時間働くとすると35,840円同じ時間働いてももらえる給料が違います。更に残業や休日労働が発生すればその差は開き、これが数年積み重なれば相当大きな金額になります。特定技能で来日する人も技能実習同様日本よりもまだ経済発展途中の国ばかりですから、賃金は重要な労働条件のひとつです。

事業主としてはそこで働きたいと思わせるようなその他の労働条件や福利厚生を整える、人間関係を含めた働きやすい環境をつくり伝えていく事も大事です。しかし、高い給料を払えれば解決できる事ではありますが無い袖は振れませんし、受入れするいち事業主だけでは対応に限界があるでしょう。その為資料にもあるようにその地域が連携して外国人の方が働きやすい、生活しやすい環境づくりをしていく事がいっそう求められます。

都市と地方、というくくりはもちろんですが、都市部で人口が多い場所であっても都市内での人材獲得競争が行われる中で選ばれる存在になっていかなければなりません。

(6)適正な労働環境等の確保(p20)
①適正な労働条件と雇用管理の確保、労働安全衛生の確保

・技能実習制度における管理監督体制を強化し、技能実習生のより一層適正な労働条件と雇用管理の確保のため、外国人技能実習機構の体制強化を図る。

技能実習法が施行されて1年ほどたちましたが、施行後はそれほど厳しい対応を取られたという話を耳にしていませんでした。その表れがいろいろと問題が多い制度だと言われていながらも、1年で行われた技能実習計画の認定取消し事案が1件しかなかった事からもうかがえます。

しかし、来年4月から施行する入管法改正に向けて国会で議論が行われる中で、技能実習制度について野党からの追及を受けました。そこで、法律を成立させる事を実現するためにも技能実習制度の運用において至らない点については改善していく旨説明をする必要があり、今後はいっそうの取締り強化が予想されます。そして、実際に年末に追加で新たな処分案件が公表されるに至りました。

<OTIT 外国人技能実習機構 2018年12月27日>
報道発表資料:【法務省】【厚生労働省】監理団体の許可の取消し及び技能実習計画の認定の取消しについて

<OTIT 外国人技能実習機構>
行政処分 許可・認定の取消し

技能実習計画の認定取消しに加え、初めて監理団体の許可が取消しされました。技能実習法の施行により優良な監理団体や実習実施者においては3号の対応ができる等の拡充策が作られた一方、適正に技能実習を実施することが求められます。

一度技能実習計画の認定が取消されると5年は技能実習計画の認定を受ける事ができなくなります。その間技能実習生がいなくても事業が存続できるのか、あるいは今後は特定技能を含めた外国人労働者なくして事業を継続できるのかも考えていかなければなりません。

残念ながら外国人だからという理由で法令順守をしてこなかった方たちが一部いらっしゃいますが、今後は外国人を受入れするからこそより高い法令順守意識、コンプライアンスが求められる時代になっていきます。日本人以上に法律が厳しく、現場対応にも手間がかかりますのでしっかりと体制を作っていかなければなりません。

(7)社会保険への加入促進等(p22)
・社会保険への加入手続に関し、事業主の呼出し、訪問指導、立入検査等による計画的な事業所指導を実施するなど、外国人を雇用する事業所や雇用されている外国人に対する社会保険への加入促進の取組を重点的に推進する。あわせて、国民健康保険について、市町村において、離職時等に、年金被保険者情報等を活用しながら行う加入促進の取組を推進する。
・地方入国管理官署における外国人の在留資格変更・在留期間更新時や、ハローワークにおける求人受理時等において、関係行政機関が連携を図ることにより、
外国人雇用事業所や外国人の社会保険への加入促進に取り組む。このため、新たな在留資格による外国人について、特定技能外国人の受入れに関する審査に当たり、社会保険制度上の義務の履行状況などを確認することとし、過去にその納付すべき社会保険料を一定程度滞納するなどした受入れ機関については受入れを認めないこととする。国民健康保険・国民年金については、保険料を一定程度滞納した者からの在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を不許可とする等の対策を講ずる。
・新たな在留資格による外国人について、特定技能外国人の受入れに関する審査に当たり、社会保険制度上の義務の履行状況などを確認することとし、過去にその納付すべき社会保険料を一定程度滞納するなどした受入れ機関については受入れを認めないこととする。
・国民健康保険・国民年金については、保険料を一定程度滞納した者からの在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を不許可とする等の対策を講ずる。
・地方入国管理官署における特定技能外国人の受入れに関する審査に当たっては、受入れ機関における納税義務の履行状況を確認することとし、一定程度滞納がある受入れ機関については特定技能外国人の受入れを認めないこととするとともに、その受入れ後において、特定技能外国人からの在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請の際に、受入れ機関の源泉所得税等の滞納状況を確認することとし、一定程度滞納がある受入れ機関に対しては適切な指導等を行う。
・納付すべき所得税や住民税を自己の責めに帰すべき事由により一定程度滞納がある特定技能外国人については、同人からの在留資格変更許可申請等を不許可とすることとし、関係機関に通報するなど必要な情報連携を行うこととするほか、その他の在留資格を有する外国人についても、今後、同様の措置を講ずることを検討する。
・受入れ機関は、特定技能1号外国人が円滑に納税を行うことができるようにするための支援、特に、在留期間満了時までに、翌年納付すべき住民税を当該外国人に代わって納付することができるようにするための支援措置を講ずることとし、出入国在留管理庁(平成 31 年4月発足)は、受入れ機関が納税に係る支援を的確に実施できるよう受入れ機関に対する周知を図り、適正な履行が確保されていない受入れ機関に対しては、適切な指導等を行う。

上記のように社会保険料の加入と保険料の徴収、支払いと税金の支払いを含めた法令順守も求められるようになります。

技能実習で見受けられますが、個人事業主の実習実施者の場合は国民年金と国民健康保険に技能実習生本人が加入と支払い義務があるものの、調整的に天引きするわけではないので支払いは本人任せになってしまいます。結果として滞納をしてしまうケースも少なくありません。

しかし新制度の運用が始まりますと、滞納持している外国人労働者は在留期間の更新や資格変更許可が受けられず帰国することが想定されます。また、住民税も個人が支払う普通徴収ですと同様に未納、滞納が発生する恐れがあるので、給与支払者が天引きする特別徴収対応をとるような周知も行われていくようです。

このように社会保険料や税金を滞納していると本人は日本に滞在することができず、またどんなに優秀で日本に残ってもらいたい、来てもらいたいという外国人であっても雇うことができません。雇う側も外国人労働者側も保険料や税金についての意識向上が求められます。

<外国人材の適正・円滑な受入れの促進に向けた取組>
(1)悪質な仲介事業者等の排除(p24)

・技能実習の在留資格について、不適切な送出し機関の関与の排除等を目的とした二国間取決めの作成に至っていない送出し国のうち中国・インドネシア・タイについて、平成 31 年4月を目途として同取決めを作成することを目指す。
・職業紹介事業者がその職業紹介により就職した外国人に対して早期の転職を勧奨する等の不適切な行為を防止するため、職業安定法に基づく指針の周知・啓発を行うとともに、違反が認められた場合には厳正に指導する。

1年経っても作成に至っていなかった技能実習の二国間取り決めについて上記国も作成できるよう進めるようです。また、職業紹介については、外国人労働者をターゲットとした事業者が増えると思われ、外国人経営者も増えると考えられます。転職頻度が高い人であればあるほど、職業紹介事業者は報酬を得る機会が増えますから、不適切な事業者が転職者に新たな仕事を紹介し転職を促すこともありえます。いつかは母国に帰ると考える外国人労働者に対しては、日本人に対して以上にこのような事が行われる可能性が考えられるので、不適切な形で職業紹介を行う事業者には厳正な対応をとっていくものと思われます。

以上、非常にボリュームのある資料を一部抜粋の上ご紹介いたしました。他にもいろいろと思うところはありますが、特に外国人労働者を既に受け入れている、あるいは今後受入れを検討する事業主にとって、特にご注意いただきたい点について書いてみました。

今後も制度開始までにいろいろな事が決まっていきますので、随時情報についてはお伝えしてまいりたいと思います。

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